都知事にすら知らされなかった「札幌開催」

10月16日、国際オリンピック委員会(以下IOC)のトーマス・バッハ会長により「東京五輪のマラソン・競歩の開催地を札幌に変更した」との発表がなされた。私はもちろん、ホストシティ東京のトップである小池百合子都知事にすら何も知らされていなかった。青天の霹靂へきれきとはまさにこのことだ。

写真=AFP/時事通信フォト
小池百合子東京都知事(左)と、2020年夏季オリンピック・パラリンピックIOC調整委員会委員長のジョン・コーツ氏。都知事は、猛暑対策として、マラソンと競歩の開催地を札幌に移す案について、「青天の霹靂だ」と表現した(2019年10月25日、東京都)

これまで東京都は、膨大な時間とお金をかけて大会準備を進めてきた。今さらひっくり返して間に合うのか。費用負担は? その財源は? 選手の移動や宿泊は? 交通規制や警備は? ボランティアは? すでに販売したチケットの扱いは?

挙げればキリがないが、普通であればこれら課題をIOCが整理し、それを踏まえて都との協議があり、調整委員会やそれに準ずる会議体などにおける議論を経て、初めて発表するのが筋だ。今回はこのあたりのプロセスが全部すっ飛ばされてしまった。

このあたりの調整に関して一義的な責任を負うのが東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下組織委)。しかし森喜朗会長は「IOCが提案したものをダメと言えますか」とコメント。札幌への変更は決定事項かのように報じられた。