一方、原子力発電プラントの新増設に関してみれば、現時点で多少なりとも可能性があるのは、2011年3月11日の東日本大震災発生時に建設中でほとんど完成している中国電力・島根発電所3号機と半ば完成している電源開発・大間発電所の2基にとどまる。もう1基建設中であった東京電力・東通発電所1号機については、着工開始直後で工事がほとんど進捗していないこと、工事主体が東京電力であることなどから、新設は困難だろう。

また、着工準備中で20年までに運転開始予定だった6基(東京電力・福島第一発電所7・8号機、日本原子力発電・敦賀発電所3・4号機、中国電力・上関発電所1号機、九州電力・川内発電所3号機)のうち福島第一原発の2基については建設が不可能になったし、残る4基についても新増設の目処は立っていない。

このように考えると、原子力発電に関して、20年までに9基の新増設、30年までに14基以上の新増設をそれぞれ打ち出した現行の「エネルギー基本計画」(10年策定)の実現が不可能であることは、誰の目にも明らかである。

それでは、日本の将来の電源構成は、どのようなものとなるであろうか。現行の「エネルギー基本計画」と同様に30年を対象にして、発電電力量ベースでの日本の電源構成の見通しを考えることにしよう。その際、重要なことは、原子力発電のウエートを独立変数として示すのではなく、従属変数として導くことである。