東日本大震災を契機に、多くの日本人が自らの働き方を見つめ直し始めた。アンケートの結果を基に、どのような価値観が重視され始めたのか、震災後の労働観の変化を考察する。
7割が家族との時間を重視し始める
東日本大震災後実施されたアンケート調査で、多くの人の仕事観や働くうえで求めるものに変化が起こっていることを示唆する結果が出ている。私が見つけられる限りで最も大規模なのは、アクサ生命保険が、震災3カ月後に行った20~50代までの生活者約1万人を対象に行った調査であり、ここでは大きく3つのパターンが観察されている。
第一が、安心・安全など、エイブラハム・マズローの言葉を使えば“低次元”の欲求だとされる要因の重要性が認識されたことである。例えば、自分や家族の将来に不安を感じると答えた人が70%を超えており、さらに日本という国についての不安を感じる人はさらに多く、約80%である。また、その逆の動きとして、自分のことは自分で守るしかないという自分頼みの傾向が観察されている。
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