2030年の電源構成はどうなるか
日本の将来の電源構成見通しを作成する際に独立変数とみなすべきなのは、
[1]再生可能エネルギーを利用する発電の普及の度合い
[2]省エネルギーによる節電の進展の度合い
[3]IGCC(石炭ガス化複合発電)、IGFC(石炭ガス化燃料電池複合発電)、CCS(二酸化炭素回収貯留)などによる火力発電のゼロ・エミッション電源(二酸化炭素をほとんど排出しない電源)化の進行の度合い
という3つの要素である。原子力発電のウエートについては、これらの独立変数を決めたうえで、従属変数として、全体からの引き算で導くのが適切である。
[1][2][3]の独立変数は、いずれも不確実性が高く30年時点での見通しを得ることが難しい。明確な根拠はないが[1]と[2]については最大限の数値をめざすことにして、30年における発電電力量ベースでのウエートをそれぞれ30%、10%と設定することにした(発電電力量ベースでの再生可能エネルギー等の比率は07年度実績で9%であった。11年5月にフランスのドービルで開催されたG8サミットに出席した菅直人首相は、20年代のなるべく早い時期までに再生可能エネルギー利用発電のウエートを20%に高める方針を打ち出した。ここで[1]の30年における再生可能エネルギー利用発電のウエートを30%に設定したのは、07年度9%、20年代20%という上昇趨勢をふまえたものである)。
また、[3]を反映する火力発電のウエートについては、30~40%と想定した。これらの仮定を念頭において、30年における発電電力量ベースでの日本の電源構成を見通すために作成したのが、表2である。