英語が習得できずに悩む日本人は多い。立教大学名誉教授で英語教育研究者として活躍する鳥飼玖美子氏は「発音よりも文法が大切」と断言する。イーオンの三宅社長が英語の効率的な学び方を聞いた——。(第3回) 
撮影=原 貴彦
立教大学名誉教授の鳥飼玖美子氏

学校の授業だけで英語はマスターできない

【三宅義和(イーオン社長)】日本人は英語が苦手だとよく言われます。その理由として「学校の先生が悪い」「文法教育が悪い」「文科省が悪い」など、いつも誰かのせいにされることが多いですが、先生はよく「時間の壁」を指摘されますね。

【鳥飼玖美子(立教大学名誉教授)】はい。端的に言うと、日本の学校教育は他教科もあるわけですから英語の学習時間が足りないのは当然で、流暢りゅうちょうに話すことができないのは当たり前です。アメリカ国務省内に連邦職員に任地の言語を短期間で集中訓練する部門がありますが、その部門では「言語間の距離(類似性)」によって習得の難易度をつけています。

たとえば同じラテン語から派生したフランス語は英語との距離が近いので、半年もあれば仕事である程度使いこなせるようになる。ところが日本語は、英語母語話者から見て“super difficult”という言語グループに分類されています。

【三宅】超難しいと(笑)。

【鳥飼】はい。どれくらい難しいかというと、集中して学んでも2年はかかると。朝から晩まで集中訓練を1年半くらい受けて、その上、言語文化が違うので半年程度は留学しないと使えるようにはならないというのです。逆に考えると、日本人が英語をそれなりに習得するためには1年半、朝から晩までイーオンの教室で勉強し、さらに半年は英語圏に留学しないといけないということになります。

でも日本人は、そこまでの時間をかけなくてもある程度できるようになっていますよね。世界中で活躍している日本人をみても、みんな「英語ができない」とブツブツ言いながらも頑張って英語を使っています。