新型コロナウイルスに関する報道では、日本と海外でトーンが大きく異なる。国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏は「日本での報道は、今回の新型コロナの件に限らず基本的に慎重。報道をみて『やたらと慎重だな』と感じたら、海外メディアをみることにしている」という。イーオンの三宅義和社長が、そのわけを聞いた――。(第1回/全3回)

ハーバードで出合った電子音楽は、まるで砂漠のオアシス

国際ジャーナリストでミュージシャンのモーリー・ロバートソン氏
撮影=原 貴彦
国際ジャーナリストでミュージシャンのモーリー・ロバートソン氏

【三宅義和(イーオン社長)】テレビでモーリーさんのことを知った人の中には、ご本業をコメンテーターだと思っている方も多いと思います。もともとは音楽がご専門ですよね。

【モーリー・ロバートソン(国際ジャーナリスト、ミュージシャン)】電子音楽をずっとやっています。

【三宅】いつ電子音楽に出合われたのですか?

【ロバートソン】東大を辞めてハーバードに入り直して2、3年たったときです。向こうの授業はひとことで言えば「スパルタのディベート形式」で、日本での生活が長かった私にとって毎日が苦痛でした。どうしたものかと思っていたとき、たまたま大学の一角に電子音楽を教えるクラスがあったのです。まさに砂漠でオアシスを見つけた気分でした。

【三宅】そのような授業が大学にあるとは!

【ロバートソン】もちろん伝統的な音楽を教えるクラスもたくさんあるのですが、そういった授業をとったところで小さいころから音楽教育を受けている学生が有利になります。でも電子音楽では、そういった経験も知識も一切いりません。電子音楽は電圧の変化で「音を作り出す」ところからはじまる世界なので、そもそも五線譜で表せないのです。音楽の理論よりも電気の知識のほうが役に立つ。とても前衛的な世界でした。