なぜ日本人はいつまでも英語が苦手なのか。国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏は「英語学習に伸び悩む子供はヒップホップを習うといい」という。イーオンの三宅義和社長が、そのわけを聞いた――。(第3回/全3回)
新興国の子供にとって「英語=キャッシュ」
【三宅義和(イーオン社長)】日本の英語教育についてお聞きしたいです。日本人は英語が苦手だと言われるのはなぜだと思いますか。
【モーリー・ロバートソン(国際ジャーナリスト、ミュージシャン)】日本人は本当に頑張っているんです。しかし、詰め込み学習ばかりで実際に英語を使う機会が少ない。「正解」を気にしすぎてパーフェクトになるまで口を開こうとしない。行き着く課題はこれしかないと思います。
たとえば、新興国の街を歩くと、小さい子供がブロークンの英語で必死に話しかけてきます。なぜなら彼らは生活がかかっているから。一言も英語が話せないお店と英語で客引きができるお店では売上げがまったく違います。彼らにとって、「英語=キャッシュ」なので、みんな貪欲に英語に食らいついている。
だからみんな子供のころから英語をしゃべろうとするし、反復しているうちにどんどん上手くなるのです。しかも今ならインターネットがありますから、その国の教育レベルが高くなくても、子供たちはネットで勝手に覚えていきます。彼らにはこのたくましい生命力があるわけですね。
【三宅】日本人は文法や発音などの形式を気にする。途上国の人々はとにかく伝わることを気にすると。
【ロバートソン】はい。その差が大きいと思います。