学校教育にイマージョン・プログラムを

イーオン社長の三宅義和氏
撮影=原 貴彦
イーオン社長の三宅義和氏

【三宅】では、日本では今後どのように英語教育を改善していくべきだと思いますか?

【ロバートソン】「英語を日本語で学ぶ」という発想をいったん捨ててもいいかもしれないですね。そのかわり、とにかく口を動かす。色々やっているうちに段々と上手くなっていく筋トレのような英語の学び方をすべきではないでしょうか。

【三宅】具体的には?

【ロバートソン】公立学校の夏休みにイマージョン・プログラム(没入法)を実施してみるのはどうでしょう。予算や行政上の問題もあるでしょうが、英語しか話してはいけない環境に強制的に身を置けば、小さい子供ならすぐに覚えますよ。

中国には日本の10倍以上のエリート層の人口がいますが、その上澄みにあたる人たちはバイリンガルが多いです。なぜなら彼らの親が留学させたから。イマージョンをお金の力でしてしまうわけです。そういったことを日本も行うべきではないかと思います。

【三宅】日本人はどうしても文法などを完璧に覚えてからじゃないと話せない、という意識が強いですよね。

【ロバートソン】文法はもちろん大切ですが、臆せずにどんどん外国人と英語で話すことで、逆に「なぜ文法をちゃんと学ぶべきなのか」が生々しい感覚でわかると思います。フレーズを呪文のように繰り返し唱えてもなかなか上達しないですよね。英語がまったくできない状態でイマージョンをやり、そのあとでセオリーを加える。そしてもう1回イマージョンをする。この反復が一番良いかもしれません。

アクセントは気にするな

【ロバートソン】それに今の時代、日本にいながら外国人と英語で話すチャンスはいくらでもありますよね。インドやフィリピン、シンガポールなど東南アジアの人々が話す英語はアクセントがとても強いですけど、それでもOKならオンライン英会話などを使って、彼らから安価でレッスンを受けることができます。

【三宅】アクセントを気にする日本人は多いですからね。

【ロバートソン】はい。たしかに私が子供の頃はアングロアメリカンの白人が使うアクセントにこだわる人が多かったと思います。しかし、もはやそのような時代ではありません。

シンガポール人は衝撃的にアクセントが強い「シングリッシュ」を貫きますし、パキスタン人やインド人は世界のどこへ行ってもクセのある南アジア英語を使います。留学先の大学でもそうです。「そのアクセントを直せ」と言われても、「なんでだ」とそこでディベートが始まる。

【三宅】日本人なら「すみません」と言って萎縮してしまうところですね。

【ロバートソン】興味深いのは、自国の強いアクセントで話す人ほど自国に対するプライドが高いことです。インド人の留学生をみていると、そのアクセントが笑いのネタにされても一緒に笑いながら、「人口が多いのは俺たちだから、そのうち呑み込んでやるよ」みたいに悠然と構えています。

【三宅】すごい自信ですね。