リスニングのコツは開き直り!

【三宅】次にリスニングですが、先生は開き直ることが大事だとよくおっしゃいますね。

【鳥飼】相手が何を言うか予測できないし、準備のしようがないですから。日本語でも訪れた地域によっては聞き取れないことがあるのと同じで、英語も千差万別です。そういう意味では、わからないときは「わからない」とはっきり言うことが大事だと思います。「聞き取りができません」ではなく「わからない」。「私がわかるように、もう一度ちゃんと言ってみてください」と頼めば、相手も「あっ、これはまずかったな」と思って言い直します。

【三宅】日本人はすぐに謝りますからね。

【鳥飼】そうなんです。すぐに自分を責めて恐縮しますね。でも、謝る必要はありません。コミュニケーションはお互いの努力で成り立つものです。話すほうは相手がわかるように努力する。聞くほうも一生懸命聞く努力をする。それでわからなければ「わかりません」と相手に言ってあげないと、コミュニケーションが成立しません。

自分に合った学習方法を自分で探す

【三宅】言語の習得は生涯続くものだと考えているのですが、どのようにすれば自律型学習者になることができるのでしょうか。

【鳥飼】同感です。言語は生涯学習ですよね。学校を卒業しても学び続けるには、自律性が不可欠です。私は英語教員の研修会にいくと「子どもの自律性を涵養かんようすることが教師の役割のひとつだ」という話をよくします。メタ認知能力といいますか、自分の学習を振り返る能力を身につけることが大切だと思っています。人から言われたことを、そのままやるのではなく、「このやり方はどうなんだろう」と分析しながら実践してみて、うまくいったか、いかなかったか、もっといい方法はないかなど振り返り、あれこれ試行錯誤しながら自分に合った学習方略を見つける。それが自律的学習者になることです。自分の学習に自分で責任を持つことが自律性なので、これは英語だけでなく、他の言語にも、他の教科にも通用します。

【三宅】とても深いお話ですね。どうも日本人は「勉強法」というものにやたらと振り回される気がします。

【鳥飼】試しに行ってみることは悪いことではないのでしょうが、大事なことはちゃんと振り返りをしているかですよね。もし思ったほど効果が上がらなければ、何が悪かったのかということまで自分で批判的に分析できるかどうかが重要ではないでしょうか。