なぜ、日韓関係はこんなにこじれてしまったのか。精神科医の和田秀樹氏は「日韓対立は双方にとってデメリットしかない。それなのに政治家や官僚、マスコミなど偏差値的には賢い人たちが『バカ化』してこじれた。その原因のひとつは『グループ心理』にある」という——。
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嫌韓・断韓感情を煽っている「バカ」の正体

日韓対立の解決の糸口が見えない。

いわゆる徴用工裁判の問題は、日韓の請求権協定に対する明らかな違反であり、その協定および、そのベースにある日韓基本条約を韓国が破棄していない以上、民間人の請求権はない。それは日本として譲れない部分だろう。

ただ、だからといってこのタイミングで日本が輸出時に優遇措置を適用する「ホワイト国」から韓国を外すという対応をしたことは、日本政府がその理由を「安全保障上の輸出管理の問題」としたとしても、「報復」と受け止められても仕方がないかもしれない。

実際これを受けて、韓国は日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定した。ことは日韓の歴史認識問題から、安全保障問題へと飛び火した形だ。以降、両国の政府の言い分はことごとく対立し、それを双方のメディアは連日報道し、読者や視聴者の嫌韓・断韓感情をますますあおっているように見える。

「政治家は冷静になれ」損得勘定で冷静な一般市民

そうした険悪な雰囲気の中にありながら、韓国ではそれほど反日感情が高まっておらず、大衆は冷静だという指摘がある。韓国では他人の目のあるところでは、大っぴらに「日本が好き」とは言えない。だから日本旅行を取りやめるなどの自粛ムードになっているというわけだ。

これによって、日本の、特に地方の観光産業は大打撃を被っている。しわ寄せを受けた当事者を中心に日本でも「政治家にもう少し冷静になってほしい」という声が次第に大きくなっている。

韓国でも、日本と対立関係になるデメリットについて、経済問題を挙げる一般市民が多い。長期不況が続き、失業率が高い中、けんかをしている場合ではないだろうという考えだ。

要するに、日韓とも「賢い人」であるはずの官邸や官僚の人々やメディア関係者が、経済的な損失を考えないような言動や判断を行い、一般大衆のほうが冷静に損得を考えて判断をしているということである。このたびの日韓対立は、偏差値的に頭のいい人々のバカ化によって泥沼化したと言ってもいいのではないか。