5%ポイント還元の実際の値引率とは
価格にまつわる販売促進の方法の1つに「値引き」があります。値引きは販売量が増えないと売り上げが下がりますし、ブランドイメージを損なう恐れもあります。しかし、戦略的に行うことで効果を高めることができます。
消費者には、複数の店を回って特売品などの安い商品だけを選んで買う「チェリーピッカー」(さくらんぼ摘み)と呼ばれるタイプと、同じ店で買う安心感を重視する「リピーター」タイプがいます。前者をターゲットにする場合は、「そのとき限りの値引き(即時型)」で集客に結びつけます。後者をターゲットにする場合は、ポイントによるキャッシュバックなどの「長期的な値引き(延期型)」で来店頻度を高めます。
なお、実際の値引き率は、延期型のほうが即時型よりも低くなります。例えば、1000円の買い物をした顧客に対して、5%の現金値引きを行う場合(即時型)と、5%のポイント還元を行う場合(延期型)の値引き率を試算してみましょう。現金値引きの場合は実際の値引率も5%ですが、ポイント還元の場合、ポイントを使うためには次回来店して50円以上(合計1050円以上)の買い物が必要になるため、実際の値引き率は4.76%(50円÷1050円×100)となります。
消費税の増税で価格への注目が高まる今、顧客が買いたくなるような価格設定について、改めて考えてみてはどうでしょうか。
(構成=増田忠英)