肩こりのもう1つの要因である血行不良は、肩を動かさないことで筋肉が硬くなり起きます。したがってよく動かすことが大切です。肩甲骨の三角運動や円運動が効果的です。回数は個人差があるので、血行がよくなり肩周辺が温まって、こりがほぐれて気持ちよくなるまで動かすことがポイントです。

肩こりでマッサージに通っている人も多いと思います。血行不良の改善により一時的に楽になるのは確かですが、肩こり解消の根本は筋力アップや血行促進であることを忘れないでください。ただし人の手でマッサージしてもらうのは気持ちがよく、リラックスもでき、その意味で利用するのはいいと思います。

下半身を鍛えて、ロコモを予防

また、肩こりと並んで多くの人が悩んでいるのが腰痛です。「腰椎椎間板ヘルニア」や、急に重いものを持ったりして起こる「筋膜性疼痛症候群」など、腰痛の原因がはっきりしているのは15%で、残りの85%は原因不明とされています。腰痛は運動不足や筋力の低下で引き起こされることもあるため、その場合はお尻のストレッチを行うことで血行をよくし、改善が期待できます。ウオーキングなどの軽い運動もおすすめです。

最新の研究では、原因が特定できない腰痛のなかに、心因性、つまりストレスによって引き起こされているものがあることが明らかになっています。腰痛にはストレッチも大切ですが、ストレスを減らすことにも注意を向けてください。

「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」という言葉をご存じでしょうか。通称「ロコモ」と呼ばれ、関節や骨、筋肉などの運動器が衰え、自分1人で日常生活を送るのが困難になる状態を指します。高齢者の寝たきりや要介護状態の主要因となるので、早期予防が大事になります。40~50代の働き盛りの人にはピンとこないかもしれませんが、ロコモの人は予備軍まで含めると全国4700万人と推計されています。

自分がその予備軍かどうかをチェックする簡単な方法があります。イスに浅く腰掛け、両腕を胸の前で組み、反動を使わず片足で立ち上がって3秒キープします。もし立ち上がれなかったり、立ち上がってもすぐにグラついて両足がついたら、ロコモ予備軍の可能性があります。

それに当てはまった人は、下半身の筋肉を鍛えるトレーニングが必要です。通勤などでエスカレーターやエレベーターを使わず、階段を上るようにしましょう。先のワンレッグスクワットも効果的です。皆さん楽しみながら運動を行い、心身ともに健康でいましょう。

肩こりに効果
【肩甲骨の三角運動&円運動】
1 両腕を曲げたまま引き上げて、肘を斜めに開きながら下ろす。
2 肘を大きく前方に持ち上げ、真上まできたら肩甲骨を寄せ、肘を開きながら下ろす。肘で円を描くように。
腰痛対策
【お尻のストレッチ】
1 片足の足首を反対側の膝の上に。胸をくるぶしに近づけ、呼吸をとめずに20~30秒キープ。
2 あぐらで片方の膝を立て、もう片方の足をまたぐ。その膝に反対の腕をかけ、胸にひきつけて上体をひねり、20~30秒キープ。
中野ジェームズ修一
スポーツモチベーションCLUB100最高技術責任者
数多くのアスリートから絶大な支持を得る「フィジカルトレーナー」の第一人者。『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』など著書多数。
 
(構成=田之上 信 撮影=石橋素幸 写真=iStock.com)
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