どうすれば中学受験と習い事は「両立」できるのか
中学受験のために「好きな習い事」を無理やりストップしても逆効果になることがある。
実際、わたしは習い事をやめた途端、顔からみるみる精気がなくなり、成績も低迷し始めたケースを何度か見ている。それに引き換え、結果的に合格をゲットする「モーレツ習い事少年少女」は塾でも目を輝かせているという共通点がある。
6年の夏前まで少年野球に打ち込んだ後、本格的に受験対策を始めた男の子は、都内にある早稲田大学の系列中学校に合格、進学した。
「受験勉強のために無理やり野球を辞めさせられたら、気分転換の時間が失われてしまって、かえってストレスがたまったと思います」
モーレツ少年少女たちは勉強時間が限られてしまうこと自体にストレスを感じることはない。かえって、その限られた時間を目いっぱい活用しようという気概にあふれている。
塾通いの日以外は、毎日シンクロナイズドスイミングの選手としてハードな練習を積んでいた女の子は、プールまで向かう車や電車の中でも黙々と勉強に取り組んでいたという。その彼女はやはり「持ち偏差値」を大きく上回るG-MARCHの付属校に合格をした。スキマの時間とはいえ、「ちりも積もれば山となる」。コツコツとした努力によって大きな実を結んだのである。
「誰かにやらされている」感覚など一切持っていない
ここまで読んで、「では、わが子も中学受験と習い事を両立させよう」と考えた保護者がいるかもしれない。しかし、気をつけなければいけないことがある。
それは、ここで挙げた子どもたちは、「高いレベルで習い事に打ち込む姿勢」と「真面目な性格」の両面を併せ持っているということだ。そして、習い事であれ、中学受験であれ、「誰かにやらされている」感覚など一切持っていない。自分の好きな「習い事」、自分のための「中学受験」という意識がある。彼ら彼女たちに一脈通じている性質はそういうところだ。
だから、中学受験のために習い事を整理すべきかどうかは、わが子の習い事に取り組む姿勢や性格面を考慮したうえで、慎重に判断してほしい。