紙の新聞を購読する家庭の子は国語ができる 。中学受験塾を経営する矢野耕平氏は「優秀な子の家庭ほど、複数の新聞を購読している。政治社会の話題だけでなく、テレビ欄やスポーツ欄でも、新聞を読むことで国語能力は間違いなく上がる」という――。
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紙の新聞を購読する家庭の子は国語ができる

先日、わたしの経営する中学受験専門塾の国語授業で、子どもたちにこんな質問を投げかけた。

「みんなの家は紙の新聞って購読しているの?」

その結果に驚いた。なぜなら、国語を得点源にしている子どもたちの家庭の大半が、紙の新聞、しかも複数紙を購読していたからだ。

いま、紙の新聞はどんどん部数を減らしている。日本新聞協会が公開している「新聞の発行部数と世帯数の推移」によると、2000年の発行部数は一般紙・スポーツ紙あわせて約5371万部(朝夕刊セットを1部として算出)だったが、18年後の2018年は約3990万部と、1400万部以上も減らしている。しかも直近の1年間では220万部以上も落ち込んでいるのだ。このペースでは19年足らずで、発行部数はゼロになってしまう。

実際、わたしの塾では年に何回か自塾の広告を新聞に折り込んでいるため、広告代理店から「新聞販売所別部数データ」が送られてくる。それを見るたびに、各販売所は取り扱い部数を大きく減らしている。単体では成り立たなくなった新聞販売所が、近隣の販売所と合併することも頻繁に起こっている。

紙の新聞は果たして「オワコン」なのか?

どうして紙の新聞をとる人が減っているのか。その理由は明白だろう。インターネットの普及で、若い世代を中心にニュースをネットで閲覧するようになったからだ。かつては電車で新聞を小さく折りたたんで読む人をたくさん見かけたが、いま見かけるのはスマホを眺める人ばかりだ。

ある新聞社の記者は、ため息交じりにこう語っていた。

「若い人は新聞をとらないですね。いま購読者の大半は高齢者ですよ」

こうした状況を踏まえ、一部から紙の新聞は「オワコン(=終わったコンテンツ)」と呼ばれているようだ。しかし、長年塾講師をしているわたしは、紙の新聞には「国語の運用能力を向上させる効果がある」と確信している。本稿では「紙の新聞」と「国語運用能力」の関係性について考察したい。