予備校関係者震撼「大学試験の採点にバイト大学生」
2019年7月4日、大学入試関係者を震撼させるニュースが流れた。
大学センター試験の後継として2021年1月から実施される「大学入学共通テスト」の採点者に、なんと“大学生”が採用される可能性があるというのだ。
これまでの「センター試験」は、すべての教科で“マーク式”の問題が出題されていた。よって“採点者”は必要なかったが、後継の「大学入学共通テスト」は、生徒の「思考力」を試すという名目のもと、国語と数学で“記述問題”が出題されることになったのだ。
もちろん記述問題は、機械にかけて一斉に採点などということはできない。そこでは当然、“人力”による採点が不可欠となる。すなわち、“採点者”が必要となるわけだが……。
例年、センター試験は、約50万人が受験する。「大学入学共通テスト」でも、受験者数は同じレベルになると見込まれる。つまり、50万人分の答案を、きわめて短い一定の期間内に、正確に採点することが求められるのである。そして文部科学省は、その正常な運営には1万人の採点者が必要であると想定している。では、その“1万人”を、果たしてどうやって確保するのか。
“シロート学生”に記述式解答の採点を公平にできるのか
これまでそれは、民間業者との連携のもと、プロの採点者や大学院生などでまかなうとされてきた。ところがそこに、「アルバイトの大学生」も採用する方針であることが明らかになったのだ。
このニュースに触れて、「大学生に大学入試の記述答案など採点できるのか」と思った人も多いのではないだろうか。私は現在“予備校講師”として現代文を指導しているが、講師になる以前、5年ほど大手の予備校で「現代文」の全国模試の採点者を担当していたことがある。
その予備校の採点者は、大学生では採用に応募することすら許されず、私も大学院に進学してから採用されたのだが、研修や、模試のたびの会議、それに実際の採点に対する本部からの指摘など、一連の採点作業が入念に行われるため、当初は本当に驚いたものだ。
あの現場を直接に経験していればこそ、「大学生に大学入試の記述答案など採点できるのか」という意見が出るのは、当然のことと思われるのだ。