図表2の自分の会社やクライアントから仕事で高く評価された回数と行動タイプの関係を見てみよう。高く評価された回数が多いほど「仕事ができる」と周囲から見なされていると考えられる。高い評価を一度も受けたことがない人の中では「闘争回避タイプ」が占める割合が一番高く、接近システム系の「闘争タイプ」と「社交タイプ」の割合が低い。しかし評価の回数が増えるに従い、その関係は逆転している。4回以上では「闘争タイプ」がトップになっている。面白いのは、同じ接近システムを使いながら、社交タイプの占める割合は最低という点である。勝負強いビジネスマンは、接近システムのなかでも、とりわけ対決や闘いのための機能を使っているといえそうだ。
ただし「できる人」の好感度が必ずしも高いとはいえないだろう。アンケートでは、交渉で妥協せず、負けた相手に同情しないと答えている人が多いからだ。それに対し、闘争回避タイプは、他人の悪口や相手が嫌がることを言わないという人が多い。闘争回避タイプは敵をつくらず、好人物と思われていると推測できる。社交タイプは、人づきあいが上手だとか、調整タイプのリーダーだと回答している人が多いので、闘争タイプよりも好感度は高いと考えられるが、好かれる人イコール仕事ができる人にはならないことは図表2からご理解していただけると思う。
闘争タイプが成果をあげやすい理由は営業を例にとるとわかりやすい。営業職は積極果敢にお客様と関わることが不可欠だ。ただし、嫌がるお客様に、押し売りする人を指すわけではない。引くべきときは引きつつ、勝負どころでは一歩も譲らず粘り強く交渉するのが、成果をあげる闘争タイプである。
私は研究所の所長をしていた経験があるが、主任研究員クラスまでは、研究員としての能力が同じなら闘争タイプのほうが有利だ。自分がやりたい研究を積極的に上司に売り込まないと、研究予算がつかないからである。