裁判所が保釈を認めるケースは10年で2倍以上に
被告が起訴された後、裁判が終わるまでの間に身柄の拘束を解くのが保釈制度だが、裁判所が保釈を認めるケースは増えている。裁判所が保釈を認める保釈率は、10年前が15.6%。これに対し、昨年は32.5%と2倍以上に増えている。
裁判所の姿勢が変化したのは、10年前の裁判員制度の導入がきっかけだろう。裁判所は被告側にも裁判の準備が十分できるように保釈を進めようとしている。裁判所が証拠隠滅の恐れなどについて具体的に判断するようになってきたことも影響している。
一方、残念なことに、保釈された被告がその保釈中に事件を起こすケースも増えている。
ただし保釈中に事件を起こすケースも2倍以上に
法務省によると、そうしたケースはここ10年で2倍以上になっている。日本の刑事訴訟法では、保釈するかどうか判断する基準に「再犯の恐れ」が含まれていない。今回の逃走事件のように一度、保釈された被告に対して実刑が確定した後、収容する作業は、検察の呼び出しに素直に応じて出頭するという性善説の考え方がベースになっている。
前述したように保釈が簡単に認められるようになると、それなりの対策が必要だ。たとえば保釈時にGPS装置を付けることや出頭要請に応じない人への罰則などを新たに整備していく必要がある。
6月21日付の産経新聞の社説(主張)は「保釈のあり方急ぎ見直せ」との見出しを掲げて次のように訴える。
「保釈の認められる要件は逃亡や証拠隠滅の恐れが高くない場合に限られる。逃亡しているではないか。保釈を許可した裁判所は不明を恥じ、謝罪すべきである」
「男はこれまで書面による出頭要請に応じず、検察側は自宅を複数回訪れたが、接触できていなかった。どの時点においても、保釈は取り消されるべきだった」
保釈を許した裁判所に謝罪を求め、さたに「早く小林容疑者の保釈を取り消すべきだった」と主張する。産経社説らしい、実に分かりやすい主張である。