再着陸と岩石の採取は「人類初の快挙」
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月11日、探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウへの再着陸に成功した、と発表した。
JAXAによると、はやぶさ2は着陸とほぼ同時に弾丸を発射し、砂や石を舞い上がらせて採取したとみられる。世界初、人類初の快挙である。
着陸から数秒後には上昇に転じた。はやぶさ2は2014年12月3日に打ち上げられ、昨年6月27日に地球から2億4000万キロも離れたリュウグウの上空に到着した。今年2月22日に1回目の着陸を成功させた。この着陸だけでも日本からブラジルにある6センチの的を狙うのと同じ難しさがあるという。さらに4月5日には人工クレーターを作ることにも成功した。これも世界に先駆けた快挙だった。
今後は今年12月にリュウグウを出発し、来年12月に地球に帰還する。
壮大で夢のあるプロジェクトに感動した
リュウグウは、太陽系で地球と火星の軌道付近を回る直径わずか900メートルの小惑星だ。そろばんのタマのような形をしている。地球に接近しており、探査しやすいが、その反面、地球に衝突する危険性もある。
炭素や有機物が豊富に存在し、放射線の宇宙線と荷電微粒子流の太陽風の影響を受けない地下の岩石は、46億年前の太陽系誕生当時の状態を保っているといわれる。
採取されたとみられている砂と石は、4月5日に人工クレーターを作った際に飛び散った地下の岩石のかけらだ。成分を詳しく分析することで、これまで大きな謎とされてきた生命の起源が解明できる。
たとえば、地球上の有機物質とリュウグウの有機物質とが類似していれば、生命の起源が地球外にあったことになる。
生命誕生の謎を解明する鍵を握るはやぶさ2の探査。なんとも壮大で夢のあるプロジェクトだ。そのプロジェクトの大半に成功したという今回のニュースに、へそ曲がりの沙鴎一歩も感動で胸が一杯になった。