「国民からの力強い信任が得られた」と豪語

参院選は投開票翌日の7月22日、全ての当選者が確定した。自民、公明の与党は改選定数124の過半数を上回る71議席を得た。これで非改選を含めた与党の議席は141となり、定数245の過半数も超えた。

今回の選挙は、年金問題や消費増税の是非、憲法改正に向けた議論の有無などを争点に、これまでの安倍政権の在り方や成果を問うものだった。

参院選の結果を受け、安倍晋三首相は7月22日の記者会見で「国民からの力強い信任が得られた」と豪語したが、果たしてそうだろうか。

参議院選挙から一夜明け、記者会見する自民党総裁の安倍晋三首相=2019年7月22日、東京・永田町の同党本部(写真=時事通信フォト)

6年前の圧勝65議席には全く届かない

安倍首相が総裁として率いる自民党は、今回改選で57議席を確保し、2016年参院選の56議席を1議席上回ったものの、圧勝した2013年の65議席には及ばなかった。しかも宮城、滋賀、大分など8つの選挙区では現職が落選している。

選挙結果から分かるのは、決して有権者は安倍政権を信任などしていない、ということである。国民は安倍首相に対し、「大丈夫なのか」と疑問符を付けたのである。そこを安倍首相は理解すべきである。

選挙の結果を謙虚に受け止め、まずは「安倍1強」から生まれる驕りや傲慢さを反省しない限り、国民の支持は得られないだろう。

長期政権ゆえの慢心や驕りに厳しい視線

ここで7月23日付の読売新聞の社説を見てみよう。

「与党は、改選定数の半数を超え、一定の信任を得た形だ。だが、個別の選挙区を見ると、自民党は必ずしも盤石とは言えない」

安倍政権を擁護してきた読売社説らしく、表現は「必ずしも盤石とは言えない」と抑え気味ではあるが、国民の強い信任を獲得したわけではないことを指摘している。沙鴎一歩の指摘と同じとみていいだろう。

読売社説は「慢心」と「驕り」の問題にも言及し、安倍政権に忠告する。

「32ある1人区のうち、岩手、秋田、新潟などで競り負けた。防衛省の不手際や副大臣の失言などが響いたとみられる。長期政権ゆえの慢心や驕りに有権者は厳しい視線を注いでいる」

見出しも「安倍内閣再始動 慢心を排し政策課題に臨め」である。