おしゃべりで緊張をほぐす

打ち合いの練習の後は、きまって試合前のおしゃべりで緊張をほぐす。まず皮切りに、今日の試合の相手は以前対戦したことがあるかどうか、なおみにたずねる。全米オープンの決勝の場合は、すでにマイアミ・オープンで、しかも同じハードコートで破ったセリーナが相手だった。が、相手が初めて対戦するプレイヤーの場合は、こうたずねる。

サーシャ・バイン『心を強くする 「世界一のメンタル」50のルール』(飛鳥新社)

「彼女の強みは何だと思う? きみはそれにどう対抗するつもり?」

なおみの解答につけ加えることがなければよし、もしあれば、私のほうから役立ちそうなサジェスチョンを与える。

それが終わると、いったん別れてお互いにシャワーを浴びる。それからまた顔を合わせて、他のチームメンバー共々軽食をとる。ジムに戻って二度目のウォームアップを行うのは、試合開始の30分前だ。そのときは、なおみがゲームの最初からボールをしっかりとらえられるように、動体視力を鍛える練習もする。

これが、「チームなおみ」のルーティーンだった。

ルーティーンの見直しをためらわない

ルーティーンはそれほど効果的な手段だが、といって、いつまでも頑固にそれにこだわる必要はない。あなたの置かれた環境と目標は、時間がたつにつれて変わるだろう。それに応じて、ルーティーンにも修正を加えたり、一新したりすることをためらってはならない。

折りに触れて、いまのルーティーンは自分に合っているかどうか、修正の余地がないかどうか、チェックすることも役立つ。

一日の組み立て方は、いまのままでいいかどうか。あることをするタイミングは、これでいいかどうか。自分の周囲の物の配置を、ときどき変えてみるのも効果的だろう。いちばんリフレッシュできる時間は、一日の別の時間かもしれないだろうし。

時間の組み立て方は、成功への鍵。どんな職業にあっても、それは、時間を正確に守ることを意味する。