大事な局面で自らを奮い立たせるのに、効果的な方法は何か。女子プロテニスの大坂なおみ選手を世界一に導いたコーチ、サーシャ・バインは「自分に対して、身振り手振りや声を出すなど積極的なボディーランゲージは、脳を前向きに騙す効果がある」と説く――。

※本稿は、サーシャ・バイン『心を強くする 「世界一のメンタル」50のルール』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

2018年9月8日(写真=Geoff Burke-USA TODAY Sports/Sipa USA/時事通信フォト)

立ち方だけで相手に効果を与えられる

テニスのコーチはハッタリが上手、と言ったら差しさわりがあるかもしれない。ハッタリを「ボディーランゲージ」と言い換えることにしよう。

立つ姿勢、歩き方、体の動かし方。それだけで、敵に対して実に効果的なコミュニケーションができる。

元気いっぱいのボディーランゲージを心がければ、それは敵にも伝わる。自信満々の積極性を体の動作や仕草で表現すれば、敵はそれに気おされて弱気になるだろう。

もしポイントとポイントのあいだにコートで跳ねまわって、元気いっぱいのところを見せつければ、敵はプレッシャーを感じて、「こっちももっとエネルギッシュに振舞わなければ」と思う。それがかえってミスを誘う。

ボディーランゲージは「自分」のために

だが、私がここで強調したいのは相手に伝えるボディーランゲージではなく、「自分の心」にも効果をもたらすボディーランゲージの力だ。

テニスとは感情的なスポーツである。コートに立ったら自分と向き合って、次から次へと湧きあがる感情を迅速に処理しなければならない。

あふれる感情をうまく処理してポジティブな姿勢を打ち出すには、ボディーランゲージが有効な武器だ。肉体を積極的に動かせば、頭脳はそれにだまされて、積極的で前向きな思考回路を追うようになる。

言葉に出すことも同じ効果を生む。「から元気」でもいい。大声で何か積極的な言葉を口に出せば、頭脳もそれに誘われて積極的な考え方をするようになる。

テニスのプレイヤーに役立つことは、学生やオフィスワーカーをはじめ、あらゆる職業の人たちにも役立つだろう。一つ言えるのは、上手なボディーランゲージの重要性が過小評価されている、ということ。「手振り」「身振り」「体のアクション」が頭脳に送るメッセージの有効性に、もっと注意を払らうべきだと思う。