QBハウス、値上げしても絶好調
ヘアカット専門店「QBハウス」を展開するキュービーネットホールディングス(以下、QB)の株価が、2019年5月7日に上場来高値の2663円を記録した。5月30日の終値は2310円で、1カ月弱で少し戻しているが、依然としてピーク時の約8.5割にとどまっている。市場に評価された理由は、2019年2月に行った値上げの成功だったと考えられる。
同社は、通常カット料金をそれまでの1080円から1200円に改定した。価格改定を行うことは2018年8月の時点で発表しており、その方針自体には多くの投資家が納得していた。ただ、値上げ後に見込み通り売り上げが伸びるかについては半信半疑だったため、動向が注目されていた。
果たして、値上げ後の2019年2~3月の売り上げは、共に前年同月から12%伸びている。値上げ幅が約11%だったことを踏まえると、価格を上げたにも関わらず客数は一定だったと考えられる。
2カ月連続で値上げの悪影響が出なかったことを受け、多くの投資家がQBを高く評価し、同社の株価は2019年4月に入って大きく上昇した。
ほかの1000円カット事業者より圧倒的に好立地
値上げが成功した理由は大きく2つある。
1つは、理美容業界では顧客がサービスを継続利用する割合が非常に高いことだ。
通常、約9割の顧客が同じ理美容室を継続利用する。つまり普通にサービスを提供していれば、顧客が不満を感じることが少ない業種だといえる。今回の値上げに不満を感じたとしても、他店舗に移るほどのものではなかったということだろう。
もう1つは、QBハウスの店舗が非常に好立地にあることだ。
約9割の店舗が駅や駅周辺の施設、ショッピングセンター内にある。こうした場所に店舗を構えられるのは、QBが鉄道会社やショッピングセンターのオペレーターと良好な関係を築いているからだ。
結果としてQBハウスは、ほかの1000円カット事業者より好立地で、駅周辺に店舗を構える大手理美容室よりもカット料金が安い。つまり、顧客がQBハウスに期待しているサービス内容を満たす事業者がほかにないため、客離れが起きなかったといえる。