全国104行のうち約半数が赤字になるなど、地方銀行の経営が行き詰まりつつある。活路を開くため、地銀1位の横浜銀行は地銀3位千葉銀行との業務提携を決めた。これから地銀はどうなるのか。JPモルガンのアナリスト・西原里江氏は「総資産だけで判断すべきではない。今後は千葉銀を軸とした『メガ地銀』が誕生する可能性が高い」という——。
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記者会見する横浜銀行の大矢恭好頭取(左)と千葉銀行の佐久間英利頭取=2019年7月10日、東京都中央区

地銀再編のキープレーヤーはどこか

地方銀行の雄、千葉銀行と横浜銀行が今年7月、業務提携することで合意した。法人・個人の幅広い領域において営業面で協力し、事業承継など中小企業向けの金融支援サービス、個人向けの相続関連サービスなどを提供するとしている。両行は事業エリアの重なりが少ないため、大きなシナジー効果が得られる可能性がある。

総資産で地銀1位の横浜銀行と3位の千葉銀行の業務提携とあって、横浜銀行の名前が先に語られることが多いが、私は今後のカギを握るのは千葉銀行だと見ている。政府も後押しする「地銀再編」の動きの中心にいるのが千葉銀行だからだ。

この提携の背景にあるのは、全国の地銀が置かれている苦しい経営環境だ。地銀各社は長期化する日銀の超低金利政策を、前提として受け入れざるを得なくなってきている。

当初、2年間で2%のインフレを目指すとして導入された異次元緩和だったが、6年たってもその目標は達成されていない。この状態がさらに続くと、地銀セクターを中心に金融のシステムが危うくなるという危機感があり、政府は独占禁止法の特例法を定めた。地域での貸し出しシェアが高まる場合でも経営統合を認める方針で、地銀の再編を後押しする姿勢を強めている。