ファンが増える最新ネット戦略

インターネット上には、さまざまなビジネスモデルが現れては消えていく。

無料でオープンに発信したほうが人気が集まりやすい。(PIXTA=写真)

まさに、ネットは常に戦国時代で、栄枯盛衰も激しい。

そんな中、最近のトレンドの1つに、サブスクリプション方式がある。映画やドラマなどの動画配信に加えて、テキストにおいても、記事ごとに、あるいは月いくらなどの方法で課金する。そんなビジネスモデルをよく目にする。

インターネット上の情報は無料であるという意識が強い中で、どのようにして課金するかということは難しい問題である。

ネットフリックスなどの、明らかにお金も時間もかかっている動画ならば、課金されても見ようかという気持ちになるかもしれない。一方、テキストも確かにお金も時間もかかっていると言えば言えるのだろうけれども、「本」などのパッケージになっていない限り、なかなか有料という意識になりにくいというのが一般の本音ではないだろうか。

私自身、ツイッターやブログなどで、毎日かなりの量のテキストを発信しているけれども、「課金」したいと思ったことは今までない。一部、課金が可能なメディアでも書いているけれども、課金オプションを選択したことは1度もないし、これからもその予定はない。

なぜ、テキストに課金することに抵抗があるのか? 1つには、課金してしまって「壁」の向こうになると、多くの方に読んでもらえないということがある。ネットの特徴は、誰でもアクセスできるという自由さにある。課金でそのような自由さが失われてしまうことに抵抗がある。

もう1つ、さらに深い理由がある。すなわち、今の時代、あるテキストが読んでもらえるだけでもありがたいという意識があるのである。

かつてのマスメディア全盛時代とは異なり、今はネット上にコンテンツがあふれている。選択の幅は広がって、その中で人々が自由に自分の読むもの、見るもの、聞くものに出合っている。

そんな中で、自分たちのつくった、あるいは関わったコンテンツに興味を持って、接してもらえるだけでありがたいと思わなければならない。そんな気持ちが強い。そして、そのことが回り回ってある種の「経済圏」もつくることになるのだと思う。

課金すれば、短期的には経済的な見返りがある。その一方で、接触する人の数は、どうしても限られたものになる。