世界一高い超高層ビルが赤字でも建設された深い理由

国際会議に参加するために、初めてアラブ首長国連邦のドバイに来た。

ドバイでは2020年に中東・アフリカ地域で初の国際博覧会(万博)が開催される予定。(AFLO=写真)

最近発展が目覚ましいと言われるドバイ。かつての石油依存の経済から脱却して、新たな発展を遂げていると聞いていたので、この目で確かめるのが楽しみだった。

何よりも期待していたのが、世界一の高さを誇る超高層ビル、ブルジュ・ハリファ。高さ829.9メートルのこのビルは、ぜひ間近から見上げたかったし、イスラム建築から想を得たというその形状もじっくりと鑑賞したかった。

さすがにこれだけの高さがあると目立って、空港からホテルに向かうその道でも、すでにブルジュ・ハリファを目にすることができた。「あれが世界一のビルか!」とテンションが一気に上がった。

ブルジュ・ハリファの「ブルジュ」は、アラビア語で「塔」を指す。一方、「ハリファ」は、建設に大きく貢献したアラブ首長国連邦第2代大統領の名前に由来している。

会議の合間に、いよいよブルジュ・ハリファを見にいくことにした。ドバイを代表するモスクまでタクシーで行き、そこから5キロほどの距離にあるブルジュ・ハリファに向かって歩いていった。

現地に行ってみて初めて納得したのが、ブルジュ・ハリファを建設するという計画の経済的な合理性である。

ブルジュ・ハリファは、単に、そこに世界一高いビルを建てるということに尽きるのではない。周囲の開発と一体化した、一大プロジェクトだったのだ。