驚いたのは、ブルジュ・ハリファの下にあるショッピング街「ドバイモール」の巨大さ。高級ブランドの店から、小さな雑貨屋さんまで、あらゆるジャンルの店やレストランが並び、ほんとうにたくさんのお客さんで賑わっている。
ブルジュ・ハリファ自体が1つの強力な「客寄せ」のシンボルになっている。展望台に至るエレベーターにも、ドバイモール内から乗るような仕組みになっている。したがって、ブルジュ・ハリファに行こうと世界各地から集まる観光客は、自然にドバイモールを散策してお金を落とす。
ドバイモールだけでなく、横にある人造湖や、その周辺のホテル、オフィス、住宅など、一帯がブルジュ・ハリファを中心として開発されており、その経済効果は実に莫大である。
ドバイに来てから見聞きした情報によれば、ブルジュ・ハリファ自体だけでは経済的にペイしないのだけれども、周辺を含めると大幅な黒字になっているのだという。
日本でも大いに参考になるように感じた
もともと、目立つもののない砂漠の地だったドバイが、脱石油の経済発展を目指す中で、何よりもインパクトのある「世界一」の高さのブルジュ・ハリファを建設する。それを強烈な吸引力として、周囲にうまく関連施設を設計、配置する。このような都市計画、ビジネスモデルのあり方は、日本でも大いに参考になるように感じた。
日本では、「ブルジュ・ハリファ」に相当するものは何だろうか。これからどんな仕掛けをすればいいのだろう。
東京タワーや東京スカイツリー、通天閣などの既存の施設を活かすことにもつながるし、大阪万博のパビリオンや跡地とその周辺の利用計画、あるいは豊洲の新市場の周辺のことなど、いろいろと連想や夢が膨らむ。
大切なのは吸引力のある「中心」をつくること。そんなインスピレーションが得られたドバイへの旅であった。