日本の民間企業のロケットが宇宙に初めて到達

5月4日、ホリエモンこと堀江貴文氏が出資するスタートアップ企業「インターステラテクノロジズ(IST)」は、小型の観測ロケット「MOMO(モモ)」3号機の打ち上げに成功した。日本の民間企業が単独で作ったロケットが宇宙空間に達するのは初めて。このロケットは、「ホリエモンロケット」とも呼ばれている。

従来、わが国のロケットや宇宙開発は国が主導してきた。政府が大企業と連携し、予算と大勢の人員を動員してきたため、「ロケットなどの開発は、小規模の企業では無理」という見方は根強かった。

ホリエモンロケットの打ち上げ成功は、霞が関などにはびこっていた常識を覆した。「民間の活力=アニマルスピリッツ」を発揮できれば、新しい発想を実現することは可能だ。ホリエモンロケットには学ぶべき点がたくさんある。

小型ロケット「MOMO3号機」の打ち上げ成功に笑顔を見せる堀江貴文さん(手前中央)やインターステラテクロノジズの稲川貴大社長(同右)ら=大樹町で2019年5月4日午前11時13分、貝塚太一撮影(写真=毎日新聞社/アフロ)

世界中で「小型ロケット」への需要が高まっている

1980年代後半から1990年代初頭にかけての資産バブルが崩壊して以降、わが国の企業は“専守防衛型”の経営を続けてきた。多くの企業が、新しいことへのチャレンジに、二の足を踏んでしまった。

足元、企業の業況は改善傾向にある。徐々に新しいことに取り組み、海外企業にキャッチアップしようとする日本企業も増えてきた。政府は構造改革などを推し進め、民間の活力をさらに引き出し、生かさなければならない。

世界的に、小型のロケットへの需要が高まっている。小型の観測衛星を打ち上げて気象や船舶の運航、農作物の育成などに関するビッグデータを収集し、ビジネスに生かそうとする企業が増えているのだ。

この中で、ISTが小型の観測用ロケットであるMOMO3号機の打ち上げに成功した意義は大きい。