暗号が解き明かされる確率はゼロではない

しかし、その公開鍵暗号は100%安全かというと、決してそうではないのだ。世界中のコンピュータを繋いで、公開鍵の暗号推測の演算をしていけば、暗号が解き明かされる確率はゼロではない。しかし、実際にその解を求めるための期待年数は、たとえそうしたとしても数十年、数百年かかるといわれている。

ということは、そこまで時間とコストをかけて暗号を解こうとする人は、まずいないだろう。同じように可能性がゼロではないからといって、わざわざ猿にシェイクスピアの作品を打たせてみようとした酔狂な人がいたという話も聞いたことがないのだ。

横山明日希
数学のお兄さん
2012年、早稲田大学大学院修士課程単位取得(理学修士)。数学応用数理専攻。大学在学中から、数学の楽しさを世の中に広く伝えるために「数学のお兄さん」として活動を開始。精力的に講演やイベントを実施
(構成=田之上 信)
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