▼老親がオレオレ詐欺被害

「費用もかからないし、人助けになるなら」と名義貸し

オレオレ詐欺(ニセ電話詐欺)の手口には「溺れる者は藁をもつかむ」状態に追い込むというセオリーがあります。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/SIphotography)

最近増えている新たな手口が人の親切心につけこむ詐欺。佐々木道子さん(仮名・72歳)の家にある日、「介護付き有料老人ホームのパンフレットと入居権利申込書」が届きました。その数日後、Aという会社から電話が。

「パンフレットにある老人ホームへの入居希望者が数名いるが、法人からは申し込めないので、入居権利申込書を持っているあなたに代わりに申し込んでもらい、その権利を買い取らせてほしい」

道子さんが「お金がない」と断ると、「介護が必要なのに入れない人がたくさんいるんです。費用は当社で全額負担するので、人助けだと思って名義だけ貸してほしい」と担当者。道子さんは「費用もかからないし、人助けになるなら」と、名義貸しを了承してしまいました。

「犯罪行為になります」という脅しの電話が…

すると数日後、その老人ホームから「入居権は個人にしか販売していないのに、入金が会社名義なのはおかしい。権利をA社に譲ったならインサイダー取引で犯罪行為になります」という脅しの電話がかかってきたのです。慌ててA社に問い合わせると「間違って当社名義で振り込んでしまったので、老人ホームと交渉中です。申し訳ありません」とのこと。もちろん、すべて真っ赤なウソ。

そして数日後、A社から悪魔のような提案が。「幸い、老人ホーム側は示談金を払えば、公にしないと言っています。もし公になってあなたが逮捕されたりしたら大変ですから、示談金の半分は当社が負担させていただきます」。窮地に立たされた道子さんは「半分もってもらえるのなら」と500万円を支払ってしまったのです。