いい人すぎるとYESを引き出せない

「いい人」も、プレゼンの際に相手をその気にさせられない傾向があります。「いい人」は本当にいい提案をしたうえで、判断を相手に委ねるからです。YESを引き出せる人は、最後の最後に相手を試します。提案をし終えたら、最後にこんな一言を付け加えるのです。

下地寛也『プレゼンの語彙力 おもしろいほど聞いてもらえる「言い回し」大全』(KADOKAWA)

「本気でない人にはおすすめできません」
「得られる成果はスゴいですが、それなりの覚悟が必要です」
「やる気がない人は手を挙げないでくださいね」

どれも、「いいかもね~」なんてのんきに聞いていた側からすると「ギョッ」としますよね。でも、ギョッとさせることに意味があるのです。

提案内容が難しいと、聞き手は「内容は良いけど、普段ダラダラ働いている自分たちに本当にできるだろうか」と思います。これでは、どんなに良い提案でも通らないことがありえます。「まあ、いいか」で終わってしまいます。

聞き手を試す

そこであえて、聞き手の本気度を試す一言を言ってみるのです。そうすることでプレゼンターが、この難しい提案を本気で考えてきたのだと伝わります。

(イラストレーション=たかだべあ)

そして、うまくいくかいかないかが提案側ではなく受け手側に委ねられることになります。もちろん提案した内容が成功した暁にはそれなりの成果が得られることが必要ですが、成功するか失敗するか、その主役が自分になることで、聞き手は研ぎ澄まされます。

聞き手は、この人はチャラチャラしたことを言う人ではなく何事も本気で取り組む人だなと思ってくれます。そして、自分たちさえ本気になれば結果はついてきそうだという安心感を与えられます。

ちなみにこの言い回しは、オドオドしながら言ってもまったく意味がありません。自信をみなぎらせた表情で言いましょう。

 
下地 寛也(しもじ・かんや)
コクヨ株式会社ワークスタイルコンサルタント
1969年、神戸市生まれ。2008年から[コクヨの研修]スキルパークを主宰。未来の働き方を研究するワークスタイル研究所の所長、ファニチャー事業部の企画・販促・提案を統括する提案マーケティング部の部長などを経て、現在は経営管理本部にて、コクヨグループの働き方改革や風土改革に取り組んでいる。
(イラストレーション=たかだべあ)
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