成果を出すチームはどこが違うのか。人事評価クラウド提供する、あしたのチーム社長の髙橋恭介氏は「成果を出すチームのリーダーは『たとえば』と『そのために』という2つの言葉を必ず使う」という。その理由とは――。

※本稿は、髙橋恭介『4倍速で成果を出すチームリーダーの仕事術』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

全部自分で決めてはいけない

チームリーダーが決めたことを、「そのままやれ」と命令していれば目標を達成できた時代はすでに終わりました。現代のマネジメントにおいて大事なのは、メンバーのやる気や「やりたい」という気持ちを引き出すことです。

そのためにチームリーダーは、メンバー一人ひとりの目標にしても、仕事のやり方にしても、すべてを自分が決めるのではなく、メンバーにできるだけ決めさせるようにします。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/SARINYAPINNGAM)

自分なりの仮説や答えをもっていても、それをすぐには言わず、メンバー自身の口からそれに近いものが出てくるように、粘り強く質問し、対話をしていくのです。

「答えを全部言ってしまう」チームリーダーは、それが正しい答えだったとしても、チームとして目標を達成することはできないでしょう。その真逆に、「答えをまったく持っていない」チームリーダーもまた目標を達成することはできません。

優秀なリーダーの落とし穴

プレイヤーとして優秀だったチームリーダーがやりがちなのが、前者の「答えを全部言ってしまう」完全指示型のマネジメントです。

「今から3分話しますので、メモをとってください。①はこう、②はこう、③はこうやってください。ここまで説明しておけばできますよね。では、明日からお願いします」

これでは、メンバーに自己決定感がまったくないので、なぜそのやり方でやるのか、それが本当に正しいやり方なのかなど、メンバーは何一つ腹落ちしていません。

チームリーダーから指示されたことなので、メンバーはその通りにやりますが、心の中には何か納得できない気持ちが残っています。

メンバーには、やらされ感しかないため、目標を達成したいという意欲がわかず、結果、目標を達成できないメンバーが続出することになります。

チームリーダーは、目標までの道筋が見え、答えがわかっていたとしても、指示や命令として、それを全部言ってしまったのでは目標を達成することはできません。メンバー自身に考えさせ、メンバー自身に目標までの道筋を気づかせることが重要になります。