目標達成への道筋が見えているか
一方で、こちらのほうが多いかもしれませんが、目標を達成できないチームリーダーの中には、自分でも答えがわかっていない、目標までのプロセスが見えていない人がいます。
メンバーに対して、「どうすればいいと思う?」などと聞き、メンバーの考えや回答に対して、それでうまくいくかどうかわからないにもかかわらず、「よし、それでやってみて」とチームリーダーが安易に肯定してしまうのです。
メンバーに自己決定感があるのはいいのですが、答えが間違っていたら、メンバーがどれだけ一生懸命がんばっても目標を達成することはできないでしょう。
メンバーの答えが正しいのか、間違っているのか、チームリーダーは見分ける必要があり、もし間違っているのなら、アドバイスを与え、方向を修正して、正しい答えに誘導していく必要があります。
そのためには、チームリーダーは明確ではなくても、おぼろげにでも目標達成の道筋が見えている、答えがある程度わかっている必要があるのです。目標達成への道筋をチームリーダーがどうやって見つければいいのかについては、すでに詳しく述べた通りです。
言い訳をするチームリーダーは、こう言うかもしれません。
「そんなことしなくても、できるやつはできるんだ」
その通りです。しかし、メンバーに目標達成のすべてを任せてしまうのは、運任せにしてしまうのと同じではないでしょうか。
セルフモチベーターで、自ら勝手に成長できるメンバーが多いときは目標を達成できるけれども、そうでないときは達成できないということになります。これでは、チームリーダーの存在意義はありません。
チームリーダーであるならば、運任せなどにはせず、メンバーに寄り添って伴走し、適宜、的確なアドバイスを与えて、メンバーが成果を出せるように、目標を達成できるように導くことが求められます。
目標を具体化する質問
チームとして目標を達成するためには、チームリーダーだけではなく、メンバーも自分で目標を立て、仕事のやり方を自ら考えることが大切になります。
なぜなら、人から与えられた目標や仕事のやり方よりも、自分で決めた目標や仕事のやり方のほうが、自己決定感があり、目標の達成率が格段に上がるからです。
しかし、メンバー各自に目標を立ててもらうと、抽象度が高い目標を立ててしまう人がいます。「○○を徹底する」「△△を心がけます」「できる限り□□します」といった目標では、実行後にそれらの目標を達成したのかどうか、誰にもわかりません。
こうしたメンバーに、より具体的な目標を立ててもらうために役立つのが、「たとえば」というシンプルな言葉です。
抽象的な目標に対して、チームリーダーが「たとえば?」と聞けば、「たとえば、○○です」とメンバーは具体的なものを考えて答えます。
それでも抽象度が高いと思えば、さらに「たとえば?」と聞きます。「たとえば」は、繰り返し聞くことで、どんどん思考が具体化される魔法の言葉なのです。