平均寿命は伸び続け、今や40代は「働き盛り」の時代だ。しかしミドルが転職し、新しい職場で成功するのは簡単ではない。どうすれば採用され、才能を開花できるのか。その秘密に迫る。

転職2回までなら、企業は気にしない

かつて転職市場では、年齢を重ねると転職が難しくなる「35歳転職限界説」がささやかれてきた。しかし登録型の転職サイト「ミドルの転職」事業部長・天野博文氏は「伸び率で比べると、全世代の中でミドルの転職数が近年もっとも伸びています」と説明する。

「背景にあるのは、マネジメント層を強化したい企業のニーズです。2000~05年ごろの就職氷河期に採用を大きく抑制したため、多くの企業が40歳前後の人材不足という課題を抱えています。くわえて事業構造が大きく変わって、業界業種の垣根を越えたビジネスが必須になってきたのも一因でしょう。今まで社内になかった能力が必要になり、外部から調達しなければならない。そこで、経験のあるミドルが求められているのです」(天野氏)

半蔵門パートナーズ代表のヘッドハンター・武元康明氏も、「ヘッドハンティング業界では、リーマンショック以降、マネジメント層の依頼が急増しました。近年、ミドルの需要はゆるやかに増えています」と語る。

そんなミドル転職の実情はどうなっているのか。転職成功実績の多いポジションは、もっとも多いのが、「部長・次長クラス」で45%。その次が、「課長クラス」(35%)(「ミドルの転職」調べ)。年収は約800万円前後が中心だという。

「最近、これまで登録サイトでは少なかった経営層の転職が目立つようになり、年収1000万円以上といった高年収が増加傾向にあります。『ミドルの転職』でも1000万円以上の転職は、2年前に比べて2倍以上になり、年収2000万円超の転職も出るようになりました」(天野氏)

転職回数は、2回までは気にしないという企業が多く、「逆に1回も経験がないと、『新しい職場になじめるのか?』とかえって不安視されることもある」(天野氏)。

そして最近、目立つのが異業種転職。前述した事業構造の変化で業種間の距離が縮まったこと、また由緒正しい企業でも先行きが不安定になったことから、大手企業からベンチャーへ転身を遂げるような例が増加している。

「従来のミドルは、経理、事業企画、経営企画など、専門性が高く、高度な技術を持つスペシャリスト型人材が求められていました。それが最近は知識やノウハウを持ち、業務レベルが高いプロデューサー型のニーズが高まっています」(武元氏)