もう1つ、四色定理の証明で注目したいのは、数学でいわれる「エレガントな証明」と「エレファント(象)な証明」についてである。数学の世界では、中学校の数学で習った「三平方の定理」の証明など、シンプルに表現できるものを高く評価し、「エレガントな証明」と形容することがある。
逆に、力業で地道な作業を多く行って証明するものを「エレファントな証明」と評する。エレファント、つまり象のように鈍重ではあるが、根気強く力業を駆使したうえで、達成された証明のことなのだ。まさに四色定理の証明は、エレファントな証明の代表といえるだろう。
とかく世の中はエレガントなものばかりに目が向きがちだ。しかし、四色定理のように、地道な努力を重ね、時間をかけて実証されたものが、実社会でたしかに役立っているという事実を、ぜひ知っておいていただきたい。
(構成=田之上 信)