落合陽一「今22歳ならマイクロソフトに行く」

折しも書籍の執筆中、「今22歳ならマイクロソフトに行く」とウェブメディアのインタビューに答えていた落合陽一氏に取材の機会を得た。まさにテクノロジーの最先端を走っている科学者だが、例えば彼が研究している網膜投影とマイクロソフトのMRが合体したどうなるか。ヘッドセットなしに、リアルとバーチャルが、いつでもどこでもミックスさせられるようになるかもしれない。

バーチャル上で、議題となる新製品の3D映像を見ながら、収支計画などのデータも宙に浮かせて、さまざまなプレゼンテーションを行っていく、などということが当たり前になっていく。商談光景も変わるだろう。モノを買うとき、家で大きさをバーチャル上で確かめてから買う、などということが当たり前にできるようになる。バーチャルショッピングやバーチャルトラベルなんてものが現実化するかもしれない。

マイクロソフトは大きく変わっている。リスクを取り、アグレッシブにチャレンジしようというカルチャーを持つ会社になっている。クローズからオープンへ、というマインドの中で、次々とコラボレーションが生まれている。

マイクロソフトこそが次代の技術を生み出す

マイクロソフト・リサーチに象徴される研究開発体制があり、パソコンのOSで9割以上のシェアを持つソフトウエア開発力がある。アメリカの政府機関についでトップ3に入るマルウェア攻撃を受けながら、一度もデータを持ち出されていないセキュリティーの力もある。そして何より、ビジネス領域での圧倒的な信頼感と膨大な量のビッグデータを手にしている。

上阪徹『マイクロソフト 再始動する最強企業』(ダイヤモンド社)

マイクロソフトが今、押さえている領域は、次の王者になる条件を十分過ぎるほどそろえているのではないか。これほどの領域を総合的にカバーしている会社は、他にあるだろうか。

難しいことはさておくとして、電車の中で懸命に小さなスマートフォンの画面に目を凝らしている人々を見ていると、私はこれが未来も残る技術になるとはとても思えない。ビジネスインフラとしても、果たして優れた「最終兵器」なのか。

それこそ、あっと驚く技術は数年以内に出てきて、世界を席巻するかもしれない。かつてのスマートフォンがそうだったように。そしてその技術を生み出すのは、マイクロソフトの可能性は高いと考える。もっともっと注視しておいたほうがいい。

上阪徹(うえさか・とおる)
ブックライター。1966年兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒。ワールド、リクルート・グループなどを経て、94年よりフリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに雑誌や書籍、webメディアなどで幅広く執筆やインタビューを手がける。これまでの取材人数は3000人超。著書に『書いて生きていく プロ文章論』(ミシマ社)、『JALの心づかい』(河出書房新社)、『10倍速く書ける 超スピード文章術』(ダイヤモンド社)他多数。
(写真=iStock.com)
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