スターバックスが今年から、「箱入りパスタ」を売り始めている。さらにコメダ珈琲店や、ドトールの別ブランドでもパスタが新メニューとして登場した。なぜ今カフェチェーンはパスタメニューを増やしているのか。その背景には「プロント化」とも呼ぶべき現象がある――。
スタバが販売する「ホットデリボックス ローストチキン&ラビオリ」(画像提供=スターバックスジャパン)

カフェフードの選択肢が増えている

国内に1392店(2018年9月末現在)と最大の店舗数を持つ「スターバックス」が、今年の春、パスタメニューを発売した。

スタバだけではない。コメダやドトールといった大手カフェチェーンも、こぞってパスタメニューの充実に取り組み始めている。

カフェや喫茶店というと、ドリンクやスイーツが取り上げられることが多い。2000年代初めからの「カフェ」業態の躍進とともに、ドリンクやスイーツは多様化したが、実は、フードの主力商品はあまり変わってこなかった。大手カフェチェーンでは、昔も今もパンメニューが多い。

一方で、昭和時代の「喫茶店のスパゲティ」に端を発するパスタメニューを扱うカフェチェーンといえば、これまでは多彩なパスタを展開する「プロント」がその代表格だった。ここに今、変化が起きているのだ。

スタバが投入した「パスタ」の中身

スタバが投入したパスタは、「デリボックス」シリーズだ。4月18日に発売したのは、「スターバックス デリボックス バジルヌードル&ローストチキン」と「スターバックス デリボックス トムヤムヌードル&ローストポーク」(当時)の2種類(620円+税)。前者はイタリアン、後者はアジアンテイストで、野菜や肉とパスタを盛り合わせたボックス型の商品だった。(※上記2品はすでに終売)

さらに現在は、「スターバックス ホットデリボックス ローストチキン&ラビオリ」(680円+税)を販売中。いずれも店内調理ではなく仕入れ商品で、「ホットデリボックス」は店舗で温めて提供するほか、テイクアウト後に自分で温めて食べることもできる。

「『ヘルシーかつ腹持ちの良い食事メニューも欲しい』というお客さまの需要に応えるため、社内で検討した結果、パスタを加えた商品となりました。主に女性を意識し、野菜や豆などの具材と、パスタ、お肉を組み合わせ、バランスとボリューム感を考えた内容です。秋冬の商品はボリューム感のあるほうれん草とチーズのラビオリに、ローストチキン、パンプキンサラダ、トマトサラダ、オリーブオイルとブラックペッパーで和えたキャベツを添えました」(同社)

見た目に鮮やかで、栄養バランスのよい内容だが、分量はやや少ない。別々の機会に購入した女性客に聞いたところ、「もう少しおなかを満たせるボリューム感が欲しかった」(東京都在住の30代女性、兵庫県在住の50代女性)という意見で一致していた。