なぜ武田薬品の株主は日本企業過去最高の買収に反対なのか
武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長は2018年5月9日の記者会見で、アイルランドの製薬大手シャイアー買収について「グローバルな医薬品会社になるための大きなステップ」と意義を訴えた。金額は約7兆円で、日本企業としては過去最高の海外買収案件。同氏は「強い武田への変革が加速する」と強調するが、18年3月に計画が表面化して以降、株価は低迷したまま。最大3.3兆円の借り入れと、シャイアー株主に割り当てる新株発行で発行株数が倍増する負担を投資家は嫌忌している。
英製薬大手グラクソ・スミスクラインの幹部だったウェバー氏がスカウトされ武田に入ったのは2014年。創業家一族らの反対もあったが同年6月の株主総会で社長に就任した。長谷川閑史前社長は「グローバル戦略の強化に大いに貢献してもらえる」と期待感を示したが、ウェバー氏の就任後の実績は芳しくない。稼ぎ頭だった糖尿病治療薬の特許切れで、かつて誇った収益力は低下。17年3月期の連結純利益は武田よりも規模が小さいアステラス製薬の半分程度にとどまったのに、同氏の役員報酬が10億円を超えたことから株主から厳しい批判の声も上がった。
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