プレジデント誌の好評連載「悩み事の出口」。ライフネット生命の創業者で、立命館アジア太平洋大学学長の出口治明さんが、読者の悩みに答えます。今回のお題は「年の離れた上司と共通の話題がありません」。出口さんは「喜んでください」といいます――。
Q:父親ほど年の離れた上司と共通の話題がありません
「共通の話題がないとなぜ困るのですか?」と逆に質問したい。
職場は仕事をするために行く場所で、世間話をする場所ではありません。たとえば出版社勤務で同じ部署であれば、「単行本は月に何冊出せばいいですか」「あのベストセラーは読みましたか」とか、いくらでも仕事に関わる共通の話題があるはずです。
むしろ、純粋に仕事のことだけ考えて話を進められると思えばラッキーではないでしょうか。
――雑談する必要はない?
職場では仕事が第一です。仕事以外のことに気を揉むべきではありません。そうでなくても「日本は労働生産性が低い」と言われているのですから。
面白い話があります。ある企業の会議時間が3分の1程度に激減したというのです。その企業は「英語を公用語にする」と決めた。
すると、昔は延々と自分の成功体験や人生観を話していた社員が会議で必要なこと以外は話さなくなった。英語ができないからです。「英語公用語化の一番の効果は、会議時間の短縮だった」と。このことは真理を含んでいます。