そうとは知らず「出頭すべし」と思い込み、あるいは「納得いかない。文句を言わねば」と交番などへ出頭。するとどうなるか。

違反者が目の前にいるのだから、警察官は原則として違反切符を切る。いったん貼ったステッカーを現場の判断でナシにすることはできないのだ。

違反切符を切られると、放置違反金(車両の持ち主に対するペナルティ)ではなく反則金(違反者に対するペナルティ)の納付書が渡される。金額は同じだ。そして、2点か3点の違反点数が自動的に登録される。

点数が登録されると、ゴールド免許の人はゴールドでなくなる。次の免許更新のときの講習が、30分500円ではなく1時間800円になる。ほかに点数の累積があれば免許停止処分にもなる。損害保険の掛け金が何千円か高くなる。

しかも! 反則金を払わずに争えばまず間違いなく検察官により不起訴とされるが、違反者が不起訴になっても、持ち主に放置違反金の納付命令がいく。違反者=持ち主であってもだ。放置違反金を払わなければ預金などの差し押さえを食らう。放置違反金に検察官は関与しないのだ。そのやり方が合法だという判例はすでにある。

そうと知らずに出頭して違反切符を切られる人の割合は、2015年は全国で18.5%。知らない人は損をする、これは本当だ。

今井亮一
交通ジャーナリスト
1954年、石川県生まれ。交通事件を中心に裁判傍聴を多数行う。主に交通違反・取り締まりについて雑誌・新聞・テレビ・ラジオ等で執筆・コメント。
(撮影=石橋素幸 写真=iStock.com)
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