高校卒業後、働いたのは数日だけという48歳の無職男性。親から毎月30万円の仕送りを受けながら、これまで3回の結婚・離婚を繰り返し、今、「4回目」を画策している。最近父親が亡くなったことから、75歳の母親に「実家を出て行ってくれ。そこで新婚生活をしたい」と言い出した。実家には預貯金などで約6000万円の資産があるが、このままでは長男が使い果たす日が必ず来る。どう対応するべきか――。
働かない48歳長男に20年間、毎月30万円の仕送り
この連載では、働けないお子さんがいるご家庭の資産に焦点をあて、親亡き後も生きていける道を探る実例をご紹介しています。親が持つ資産を活用することで親亡き後の生活設計が成り立つケースもありますが、それが難しいケースもあります。後者の場合、お子さんが抱える“お金以外の問題”が、生活設計の障壁になることもあります。
今回は生活設計を妨げる壁の例として、ひきこもりのお子さんの結婚問題が絡む事例をご紹介します。
東海地方に住む母親(75)から、過去に4回ほど、長男(48)の生活設計についてのご相談をお受けしています。長男はひとりっ子。高校を卒業して以来、40代後半になる現在まで、働いた経験は数日単位のアルバイト以外にありません。
大企業で管理職を務め、リタイアしていた夫は数年前に他界。現在、夫亡き後の自宅で母親はひとり暮らしをしています。長男は、父親との折り合いが悪く、20代後半頃から、両親とは別に暮らすことを望みました。長男が“独立”して以来、ひとり暮らしの生活費は、すべて親が負担しています。まずは、現在の資産と収支の状況をご紹介します。
▼仕送り総額は7000万円を超えている
<家族構成>
母 75歳 年金生活者
長男 48歳 無職
<資産状況>
●母親
預貯金 約6000万円
持ち家(評価額)約3000万円
●長男
預貯金 0円
<収入>
母親 年金 約160万円
<支出>
母親 支出 約160万円
長男への仕送り 年約360万円