75歳の母親に要求「家を自分に譲ってくれ」
過去3回の結婚と事情が異なるのは、父親が亡くなって、母親がひとりになっていること。長男に対して、厳しい態度で接していた父親が亡くなったことで、長男は以前よりも、母親に強い態度を示すようになりました。
それがエスカレートしたのか、長男は最近、「新婚生活は大きな家でスタートしたいから、家を出て行ってほしい」と母親に迫るようになりました。
長男の言い分は、「ひとり暮らしの母親にとって、今の家は広すぎる。自分はひとりっ子で、将来はどうせ自分のものになるんだから、少し早めに自分に譲ってくれたって、かまわないだろう」ということ。あまりにも身勝手な言い分ですが、今まで長男を甘やかしてきた母親は、反論できずに困っています。
▼「息子のために少しでも貯金を残してあげたい」
この家の問題点は、改めて説明する必要もありませんが、長男のお金に対する使い方や管理能力のなさ。過去に働いた経験がほとんどなく、この先も働くつもりはなさそうな長男が、月に30万円の生活費をもらっていること自体、一般的な感覚からはかけ離れていると思います。ここまでの経緯をご覧になって、憤りを感じる方も少なくないでしょう。
それにもかかわらず、「息子のために少しでも貯金を残してあげたい」と、つましい生活を送る母親から、今度は住み慣れた家まで取り上げようとしています。長男がここまで身勝手な行動をとるには、親側の接し方にも問題があったと想像しますが、そのことをさかのぼって修正できるわけではありません。
このケースでは、私が長男と直接お会いして、「結婚を否定するつもりはないけれど、お金の使い方を改めないと、お母さまから貯蓄をすべて相続できても、70歳までにお金は底を突く」という現実を伝えるのが、解決への第一歩になると考えています。直接会って、お金の使い方を改めることに理解を求めるしかないと思うのです。
理解を求めるため、息子さんの住むマンションの近くの喫茶店などで、母親と長男、そして私の3人で話し合いをさせてもらえないかと、母親を通じて説得しているところです。ところが、息子さんはまったく応じようとしてくれません。繰り返して頼んでいるのですが、その結果かえって殻にこもるようになったのか、母親の電話にも出ないことが増えてきました。