AI(人工知能)が発達し、あらゆるモノとインターネットがつながるという「第4次産業革命」。人間の脳に電極を埋め込みコンピュータに接続する技術研究も始まった。ではAIの時代にも必要とされる人材とは? 駒澤大学准教授の井上智洋氏は「それは感性と思考能力のある人」という。その意味とは――。
AIが苦手な分野に強くなるために
人間の脳とコンピュータを一体化しようという動きが加速している。
電気自動車のテスラや宇宙開発のスペースXを創業したイーロン・マスクは小型電極を脳に埋め込んでコンピュータと接続する技術の研究をはじめる新会社を設立した。人間の思考現象を直接コンピュータへ送り、より高度なAIの開発を進めるという。またフェイスブックも、センサーで脳内の動きを読み取り、思い浮かべるだけでコンピュータに入力する技術を開発しているという。
人間の脳も含め、あらゆるモノがインターネットに接続されて連携し合う「第4次産業革命」時代がいま、幕を開けようとしている。AIと経済の関係に詳しい駒澤大学の井上智洋准教授に解説してもらう。
▼優秀な頭脳に高い報酬を与える
世界的にビジネスマンの間で「第4次産業革命」という概念がAIと並んでキー概念として認識されてきています。蒸気機関の誕生による産業と社会の変革を第1次産業革命、動力源が電気と石油に転換されたことによる社会変革を第2次産業革命、コンピュータとインターネットの普及が第3次産業革命です。次の第4次産業革命でコアとなるのは、あらゆるモノがネットワークにつながるIoT(Internet of Things)、そこから生まれるビッグデータ、そして思考するソフトウエアのAIです。
第4次産業革命に向けての取り組みが進んでいるのは、アメリカとドイツです。AI技術の研究では、イギリスやカナダなどのアングロサクソン諸国が挙げられます。