インターネットが一般に本格的に普及し始めてから約20年。この間、少しずつ、人々の意識は変わり続けている。そして、社会のあり方も。
一つひとつの事象を見ると小さなことのように思われるけれども、全体として見ると、かなり意識の変化が起こっているように思う。それを把握して初めて、よいビジネスもできるし、未来も見通すことができるのだろう。
先日、ある作家の方とお話ししていて、面白いことを質問された。
「なぜ、ネットでみんな、こんなもの食べたとか、ここに行ったとか、ああやって自分のプライバシーを公開しようとするのかしら」
好奇心にあふれていることで有名な方。でも、SNSなどはあまりおやりにならないとのこと。
確かに、フェイスブックやツイッター、インスタグラムなどでプライベートな情報を発信することは、すっかり日常の光景になった。なぜ、そのようなことをやるようになったのかを考えると、ネットと私たちの関係の今と未来が見えてくる。
まずは、たくさんの人が個人情報を発することで、ネットが全体として「進化」するという点。時折、「グーグル先生を賢くするために私たちは書き込みをしている」という言い方がされる。確かに、多くの人がテクストや画像、動画を公開することで、検索エンジンなどの機能は高まっていく。
これから主流になるだろう人工知能を用いたネット上の様々なサービスも、ユーザー側が情報を発信し、「ビッグデータ」が蓄積されて初めて高度化できる。書き込みをすることで「グーグル先生」が賢くなる。そして、その便益は私たち全員が受け取る。