「速読術」を名乗るメソッドはいくつかあるが、本当に効果はあるのだろうか。立命館大学大学院の久保田崇教授は、そのひとつである「フォトリーディング」を実践している。久保田教授は「魔法でも超能力でもない。『スマホにアプリを入れる』ぐらいの気分で、やってみてほしい」という。その効果とは――。

毎秒1ページを超える短期大量インプット

「フォトリーディングは魔法でも超能力でもありません。エクセルで単に表を作るだけでなく、関数やグラフを扱えれば、作業が圧倒的に効率化しますよね。同じようにフォトリーディングを習得すれば、読書スピードが倍以上速くなり、その分、必要な知識が効率的に得られ、人生の時間を有効活用できるのです」

立命館大学大学院公務研究科教授 久保田 崇氏

 

そう話すのは、立命館大学大学院公務研究科の久保田崇教授だ。久保田教授は京都大学を卒業後、内閣府の官僚としてキャリアを積み、数々の政策や立法業務に携わった。2011年から4年間は、東日本大震災の被災地である岩手県陸前高田市の副市長を務め、復興に尽力した。仕事にプライベートに超多忙な毎日を送りながら、年間数百冊の本を読むフォトリーダーである。

フォトリーディングとは、潜在能力を引き出す神経言語プログラミング(NLP)と加速学習のエキスパートとして知られる、米国のポール・R・シーリィ博士が生み出した速読術だ。熟練者は毎秒1ページを超えるスピードでページをめくって、写真を撮るように本の情報を脳に送り込む。

政策や新しい法律を立案する官僚は、何よりも知識量の蓄積が求められる。そのためほとんどの官僚は読書家で、短期間で大量のインプットをする術に長けているという。久保田教授も官僚になった当初から、月に20~30冊程度の本を読んでいた。