政治の空転や空白も顧みず、居座り続ける可能性も消えていないが、菅政権が最長でも向こう1~2ヵ月程度で終わるとすれば、その後の民主党政権はどんな道をたどるのか。民主党、自民党の大分裂を伴った政界再編は当面、遠のいた感があるが、現在の政党地図のままだと、民主党を中心とする連立政権という姿が続く。だが、「ポスト菅」の政権づくりは衆参ねじれの壁を克服する実験と同時進行を余儀なくされる。
早々に「ポスト菅」に名乗りを上げた小沢鋭仁(前環境相)は「震災復興」をキーワードに「政権構想」を披露する。
「この局面はオールジャパンでやらなければ。大連立というか、自民党にも公明党にも入ってもらって挙国一致内閣をつくる。2年以内の期間限定で、その期限は内閣をつくるときにしっかり決める。その先は新たに再編が起こっていくということではないか」
代表選出馬経験がある樽床伸二も言う。
「今後もねじれが続くという前提で、ねじれでも動く政治体制に、と思っていたが、震災が起こって、1年くらいはみんなで協力してやらないと危機を乗り越えられない状況になった。大連立か、それに近い形で与野党が協力してやっていく体制をつくる。来年9月までは、民主党のあり方を、そういう体制にどれだけできるか、賭けないといかんと思う」
他方、新党改革の舛添要一代表は民主党と公明党の連携の可能性を唱える。
「問題は参議院だけです。民主党サイドに立てば、一番少ない数で済めばよいから、公明党を連れてくるのがいい。われわれや、たちあがれ日本が入ってもいいが、きちんと政策協議をやらなければ。自公を分断しなければ駄目な民主党は、公明党が嫌がることは避けなければならないのに、執行部に仙谷さんや菅さんがいた。公明党の神経を逆撫でした。完全なミステークです。もう菅さんを替えないと駄目というところまできた。菅さんでなくなるこの次はチャンスです」
菅退陣に伴う代表選で選出される民主党の新指導者は、09年の政権交代から13年の衆議院議員任期満了の中間地点で政権を担い、残りの2年間で政権交代と民主党政権の効果と実績を示すという大きな役割を受け持つことになる。同時に、未曾有の大震災と原発大事故に見舞われた日本の復興と再建を果たさなければならない。さらに、衆参ねじれの泥沼の中で機能麻痺に陥っている代議制民主主義の再生という使命も背負う。
3つの重責を同時に抱え込み、実現を目指すことができるのはどんなリーダーか。「日本維新の会」を主宰する原口一博(元総務相)が述べる。
「大きな理念と理想を多くの人と共有できる統合型のリーダーが必要です。これまでは敵をつくって叩くという分断型のリーダーだった。足を引っ張り合い、重箱の隅をつっ突いてきた。これからは民主主義と人間の尊厳に対してしっかりした言葉を持っているリーダーです」
もう一人、長島昭久はこんな点を挙げた。
「いまの日本には、物事を決めたら実行できるリーダーが必要。プランは華々しいが、実行は誰が受け持つのかわからないというのでは、国難を乗り切ることができない。世代交代して、地味であっても実務的に物事を前に動かせる堅実なリーダーを民主党はつくるべきです」