USJにエリアも誕生した大人気キャラ
CGアニメ『怪盗グルーのミニオン大脱走』が3週連続第1位の快進撃を続けています。同作は2010年から始まった「怪盗グルー」シリーズの外伝を含む通算4作目で、過去3作の興行収入は、12億円→25億円→52.3億円と倍々ゲーム状態。今作も立ち上がりは上々で、前作を超える最終興収が見込まれています。
原作はなく、ディズニーやピクサーのようなブランド力もないスタジオの作品だった「怪盗グルー」シリーズが、なぜこれほど人気になったのでしょうか。その立役者と考えられるのが、シリーズを通じて登場する約2頭身の黄色いキャラクター「ミニオン」たちです。日本での「怪盗グルー」人気は、ほぼミニオンのキャラクター人気に支えられているといっても過言ではありません。
ミニオンたちは本シリーズの主役である怪盗グルーの手下であって、主役ではありません。そして、ひとりではなく大量にいます(「ミニオン」は種族名です)。
本作を1本も観たことがない方でも、ミニオンは見かけたことがあるでしょう。キャラクターグッズは山のように発売されていますし、さまざまな企業とタイアップして精力的に露出を増やしています。2017年4月からはユニバーサル・スタジオ・ジャパンにその名を冠したエリア「ミニオン・パーク」が登場しました。もちろん、大人気です。
ハロウィンで大量発生「ミニオンパリピ」
筆者が日本でのミニオン人気をはっきりと確認したのは、2015年10月のハロウィンでした。渋谷や六本木などの繁華街で、ミニオンのコスプレ(黄色い服、デニムのオーバーオール、目を模したゴーグル)をした若者が大量出没していたのです。それ以前、少なくとも2013年のハロウィンでも、ミニオンのコスプレをしている人はいたようですが、2015年7月公開の3作目『ミニオンズ』の大ヒットを受けて激増した、という印象です。
都心にコスプレで繰り出すという日本独特のハロウィン習慣は、パーティーやイベントが大好きなパリピ(パーティーピープルの略)の大学生たちによって、2010年頃から徐々に広がりました。流行のアーリーアダプターであるパリピの功績により、ハロウィンの市場規模は2015年に1200億円を超え、バレンタインデー市場を上回る規模になったと報じられています。
イベントとしてのハロウィンが広く一般化して以降は、参加している若者の全員がパリピというわけではありませんが、パリピ的な属性を持ち合わせた、あるいはパリピに憧れを抱いている「アッパーな祭り好きの若者たち」がハロウィンコスプレで上機嫌になっているのは、間違いありません。その彼らがミニオンを好む傾向にあることと、興収が作を追うごとにうなぎのぼりになっていった事実は、深く関係しているはずです。