「政治生命をかけた冒険」に出るか
そして、野党のなかでも、消費税率の引き下げに反対する勢力は少数派だ。反対するのは民進党の一部にとどまり、それは党の半数にも満たないだろう。「引き下げ」は内閣総理大臣にしかできない決断である。まさに田原氏のヒントに当てはまる。
この筆者の推測が本当だとすれば、財務省は「安倍降ろし」に動くだろう。ここが「政治生命をかけた」というところだ。この「冒険」は、下手をすれば政権の命取りになる。
消費税率の引き下げは、国民の消費を喚起するだろう。それは公共事業への財政支出よりも効果の大きい景気対策になりうる。前年比上昇率2%という「物価安定の目標」の達成にもつながるはずだ。もしそうなれば、アベノミクスの行き詰まりを打開することになる、そう安倍政権が考えてもおかしな話ではない。
しかし「消費減税」に踏み切ったとしても、目論見通りにいくとは限らない。これのみをもって、マクロ経済の先行きを見通すのは難しいからだ。経済で結果を出し、支持率の大幅回復につなげるために、安倍首相は「政治生命をかけた冒険」に出るだろうか。内閣改造の「次の一手」に注目が集まる。
(写真=時事通信フォト)