消費増税で景気や消費は低迷した

さて、この時に、みんなの党は単に増税反対を唱えるのみならず、実際に増税してしまった場合のマイナスの影響の回避・緩和策も主張していた。具体的には、所得税率引き下げ等により増税額と同額の減税を行うことや、8%に引き上げ後に3ポイント引き下げることだ。要するに実質的に増税を凍結するか、増税したとしてもその分を別の税の減税によって国民に還元せよ、ということである。無論これは当時の安倍政権に受け入れられることはなく、翌2014年4月に消費税率は8%に引き上げられた。

それ以降、景気や消費は明らかに低迷した。例えば、家計の消費支出は、2014年4月の消費税率引き上げ前の駆け込み需要で3月に一時的に大幅に増加したものの、それ以降は、ボーナス支給月等の一時的な増加を除き、対前年同月比でマイナス傾向が続いている。「プレミアムフライデー」のようなキャンペーンをやったところで消費が一気に増加するわけもなく、焼け石に水である。

景気や消費を刺激するには、抜本的な措置が必要になる。それが、かつてみんなの党が提唱し、取り沙汰された「消費税率の引き下げ」である。2014年当時、安倍政権はこの案を受け入れることはなかったが、状況は変化している。

この「消費税率の引き下げ」の理論的な根拠は、経済学者の高橋洋一氏が打ち出しているものだ。簡単に言えば、消費税を引き下げて経済成長を後押しすれば、プライマリーバランスが改善し、消費税を引き上げる必要性もなくなるというもの。高橋氏は、みんなの党のブレーンを務めただけでなく、2006年から08年まで第一次安倍政権で内閣参事官を務めている。また、第二次安倍政権になって以降も、経済・財政政策に関連して数々の助言を行っているようであり、高橋氏のアイデアを、安倍首相が検討する可能性は十分にあるはずだ。