子供の頃から成績優秀で、志望校に現役入学。就職活動も引く手あまただった。そんな賢い高学歴者が社会に出た途端、仕事で評価されずにあえいでいる。何が問題なのか。どうすれば解決するのか。世界中で数多くのエリートと仕事をしてきた投資家、ムーギー・キムさんが、ここに処方箋を公開する。
●ケース4:Uさん40歳
仕事の改革を提案したところ、余計なことをする者として部長にマークされる。それがきっかけで閑職に追いやられ、やる気を完全に喪失。自他共に認めるダメ社員になってしまった。副業が順調なため、その方面で食べていきたい気持ちがあるが、辞める勇気が湧かない……。
仕事の改革を提案したところ、余計なことをする者として部長にマークされる。それがきっかけで閑職に追いやられ、やる気を完全に喪失。自他共に認めるダメ社員になってしまった。副業が順調なため、その方面で食べていきたい気持ちがあるが、辞める勇気が湧かない……。
Uさん(40歳)は、地方の進学校から東京の有名私大に入学。マスコミに興味を持ち、テレビ局に入社し、報道局に勤務した。仕事は忙しいが、充実した日々を送った。
30代前半で、宣伝部へ異動。基本、広告代理店に丸投げで、ルーティンワークをこなす仕事に、「クリエイティブのクの字もない。ひどい部署に来てしまった」と愕然とした。しかし数年経って発言権も与えられるようになったので、つきあいだけで発注していたデザイン事務所を切り替えたほうがいいと当時のZ部長に進言した。
案は採用されかけたが、人事異動により、新部長が就任。Z部長と対立していた新部長は瞬く間に案を却下し、さらにUさんを呼び出し、「言われた仕事をやってればいい。おまえは余計なことをしすぎるんだ」と忠告を与えた。
新部長に睨まれたせいか、翌年、Uさんは総務に異動。交通チケットを手配するのがおもな仕事で、本人いわく「犬でもアルバイトでもこなせる仕事」。一気にやる気を失い、業務でミスを犯しても、どうでもいいと感じるようになった。年下の部下から叱責され、周囲から役立たず扱いされるたび、自分は何をしているのだろうと思う。
実はUさんは宣伝部に異動した頃から、ペンネームで小説を発表しており、この数年、発注が増えている。今は年収にして200万円ほどだが、専業になれば一本立ちできる可能性がないわけでない。
「会社にいる時間がムダだとわかっているので、挑戦してみたい。ただ、今までいい高校、いい大学、いい会社に入っていて、人生のレールをちょっとでも踏み外す経験をしてこなかった。だから、最後の勇気が振り絞れないんです」(Uさん)