開発テーマはロボティクスとAI
東京・赤坂の一等地にある「赤坂Bizタワー」、目の前には地下鉄の赤坂駅がある。そのビルの27階にホンダが4月、「R&DセンターX」を開設する。
そこから東京の景色が一望でき、中は仕切りがほとんどなく、会議室も透明なガラスで囲われている。床は執務机の周りがモノトーン、通路やフリースペースが青と緑に配色されている。窓際にはカウンター式のテーブルやファミリーレストランのようなボックスシート、カラフルな椅子が置いてある。そして、本棚に並んでいる本は研究開発のテーマとは直接関係のない内容のものばかりだ。
ホンダは昨年9月、ここに「HondaイノベーションラボTokyo」をオープンしたが、そこにR&DセンターXが新たに加わることになったのだ。
「人工知能(AI)をはじめとするデジタルテクノロジーという新たな風の出現に伴って、研究所全体でこれらに対応する体制の見直しを行い、新しいR&Dセンターを設け、新たな領域に挑戦することにした」と本田技術研究所の松本宜之社長は新組織発足の背景を語り、こう付け加えた。
「ホンダの得意とするモノづくりにデジタル技術を加え、ハードウェアだけでなく、体験、経験といったソフト的な価値を備えた“モノ・コトづくり”を推進していきたい。この新たなフィールドでの価値創造を図るために、既存の組織とは切り離した新しいR&DセンターXを立ち上げることにした」
ここでは当面、ロボティクスとその基盤となるAIを中心に取り組んでいく。ただ、世の中の変化に合わせて臨機応変にターゲットを変化させていく方針で、その意味も込めて「X」と命名したそうだ。
その信条はスピードで、すべての運営は固定組織ではなく、商品や技術機能別のプロジェクト運営とし、極力フラットな組織にしている。席も約120人分あるが、常にすべて埋まるとは限らないという。